大山を「歩く」──静かな斜面と歩くスキーの時間
- ふなっきぃ
- 2月16日
- 読了時間: 3分

天気は曇り時々雨。
空は暗く、分厚い雲が低く垂れ込めている。
時折、雨や雪が混じる、いかにも大山らしい一日だ。
久しぶりに香取から歩いて大山へ向かった。
目的地は中の原。
大山国際スキー場を横切りながら、
歩くスキーでゆっくり高度を上げていく。
昨日までの陽気はどこへやら、
歩くほどに気温は下がり、
最初は雨だったものが、
いつの間にか雪へと変わった。
今日の装備は、
ブルーモリスの細板ステップソールとT4。
「滑るため」よりも
「歩くため」に選んだ組み合わせだ。
歩くスキーは、
スキー場の中にあっても
決してゲレンデだけに縛られない自由さがある。
国際スキー場の下部ゲレンデを覗く。
9号リフトは稼働しているが、
6号リフトは止まったまま。
ゲレンデに人影はなく、
無人のリフトだけが淡々と動いている。
ロッジへ進むと、
緩斜面のリフトは稼働していないどころか、
ゲレンデ自体が閉鎖されていた。
国際と下の原をつないでいた連絡通路も閉鎖。
移動は県道のみとなる。
スキーヤーやボーダーにとっては辛い状況だが、
歩くスキーにとっては、
むしろ静けさが際立つ時間でもある。
国際スキー場は
大山でも屈指の規模を誇る。
それでもこの日は驚くほど人が少ない。
平日ということもあり、
ロッジも閑散としていた。
そのまま下の原へ向かう。
こちらはリフトも動き、
多少の賑わいがある。
見慣れたスキー場の風景に、
少しだけ現実へ戻る感覚があった。
さらに進み、
かつて隆盛を極めたホワイトパレスの前を通過する。
今では大きな廃墟となったその姿は、
雪の中に時間が止まっているようにも見える。
上の原ヒュッテが撤去されてから、
もう何年経ったのだろう。
ビューハイツ前を抜け、
中の原スキーセンターで休憩。
スキー教室の姿はほとんどなく、
目につくのは自衛隊の訓練風景だ。
彼らの使うスキーやブーツは、
機動性を最優先した実用的な道具で、
歩くスキーの思想と
どこか通じるものを感じる。
豪円山の入り口まで来たところで、
今日は引き返すことにした。
平日の大山でも、
中の原には比較的人が集まっている。
かつては四つのスキー場が、
それぞれ独立して運営されていた大山。
年々、リフトとゲレンデは減ってきた。
営業は続いているものの、
料金は高めで足が遠のきがちだ。
横に長いスキー場という特性と、
アクセスの不便さも否めない。

久しぶりに香取から歩いて上がってみて、
やはり相当な時間がかかることを実感した。
奥大山や鏡ヶ成、道後山と比べると、
景色が開けない区間が多いのは正直辛い。
それでも、
国際6号リフト付近は
ステップソールにとって
非常に良い場所だと気づいた。
緩やかな斜面、
適度な起伏、
そして人の少なさ。
ここは、
テレマークや歩くスキーにとって
まさに絶好のフィールドだ。
雪解けの沢を見下ろすと、
流れる水の音だけが谷に響いている。
滑るでもなく、
急ぐでもなく、
ただ歩き、立ち止まり、また歩く。
歩くスキーは、
「どこまで滑ったか」よりも、
「どんな時間を過ごしたか」を
身体に残してくれる。
また、来てみよう。
大山には、
まだ静かに歩いて確かめたい場所が、
いくつも残っている。




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