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三月の雨、静かな日常の風景

三月に入り、すっかり雪も溶けた。暖かい日と寒い日が交互にやってくる、いかにも春の入り口らしい季節だ。桃の節句も過ぎ、町は卒業シーズンの空気に包まれている。

久しぶりにショッピングモールへ行くと、平日にもかかわらず高校生や大学生の姿が目立つ。友人同士で歩きながら笑い合う姿を見ていると、春休みなのだろうと思う。それぞれの未来へ向かっていく若い時間が、そこには流れている。

そんな穏やかな光景とは対照的に、世界のニュースはどこか落ち着かない。二月末から始まったイランを巡る戦争は、短期で終わるのかと思われたが、イランの反撃も強まり、どうやら長引きそうな気配がある。アメリカとイスラエルが関わる構図とも言われているが、遠い中東の出来事でありながら、その影響は世界中に広がっていく。

株式市場もその空気を映すように、乱高下を繰り返している。何が起こるのか、誰にもはっきりとは分からない。

私たちの日常にとって気になるのは、やはり原油価格だろう。戦争が長引けばエネルギー価格は上がり、物価も上昇していく。表面上は平和な日常のようでいて、気がつけば生活のあちこちで値段が上がっている。最近はマクドナルドでも、五百円程度のセットが人気だという。人々の暮らしの感覚が、少しずつ変わってきているのかもしれない。

今日は雨。しかも春の雨にしては少し冷たい。

そんな中、昨日は近所の方がまた一人亡くなられた。去年まで雪が降ると、元気に雪かきをされていた姿が思い浮かぶ。一月に体調を崩され、自分で救急車を呼んで病院に向かったと聞いた。その後、いったん家に戻られていたが、ほどなくして旅立たれたという。

どんな思いで日々を過ごしておられたのかは分からない。ただ、こうして田舎では少しずつ人が減っていく。過疎の村では、一人が亡くなるたびに灯りがひとつ消えるような感覚がある。それでもここ数年は、以前よりお悔やみの知らせが少し減ったようにも感じる。

普段、私は静かな家の中で読書をしたり、仕事をしたりして過ごしている。だから時折、ショッピングモールのような賑やかな場所に行くと、人の多さに少し驚いてしまう。

若者で溢れる場所。そして、静かに人が減っていく田舎。

どちらも今の日本の風景なのだろう。

世界では戦争のニュースが流れ、相場は揺れ動く。それでも、目の前にはいつもの日常がある。

この静かな平和が、できるだけ長く続いてくれればいい。そんなことを思いながら、冷たい雨の降る三月の空を眺めている。

冷たい雨で
冷たい雨で

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